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(1) Mycobacterium gastriのヘキスロース6-リン酸合成酵素(HPS) のアミノ酸配列を取得。(2) Mycobacterium gastriのヘキスロース6-リン酸イソメラーゼ(PHI) のアミノ酸配列を取得。 (3) HPSとPHIのアミノ酸配列を融合して融合タンパク質 HPSPHIを生成。(4) HPSPHIにプラスチド移行シグナルを付加。(5) シグナルペプチドが付加されたHPSPHIを逆翻訳し、hpsphi遺伝子を生成。(6)内部リボソーム進入部位 (IRES)の塩基配列を取得。(7) シロイヌナズナのepidermal patterning factor-like 9 遺伝子(epfl9)の塩基配列を取得。(8) hpsphi+IRES+epfl9の順で塩基配列を結合。
本デザインは、ヘキスロース6-リン酸合成酵素(HPS)とヘキスロース 6-リン酸イソメラーゼ(PHI)からなる融合タンパク質を発現させ、ホルムアルデヒドをカルビン回路に取り込ませる形で吸収させることを期待したもので ある。これは、先行研究[1,2]よって実証されている方法をヒントにしたものだが、以下に示す独自の工夫によって吸収効率の向上を目指し た。
生物種によってゲノ ム全体でのコドンの使用頻度には偏りがあり、その偏りは主に各コドンに対応するtRNAの細胞内濃度を反映していることが知られている[3]。この性質の ため異種由来の遺伝子を宿主で高発現させるには、宿主細胞内の特定のtRNAが不足することがないように、宿主のコドンの使用頻度を考慮して遺伝子を構成 するコドンを同義コドンに置き換える処理(コドン最適化)を行うことが有効とされる[4]。私が開発したアルゴリズムでは、まず高発現させたいタ ンパク質のアミノ酸組成を算出し、各アミノ酸についてどのコドンを何回使えば宿主であるシロイヌナズナのコドン使用頻度に最適合するかを算出する。次に、タンパク質のアミノ酸配列に従って、高頻度のコドンか ら順に5'から3'末端の方向にコドンを並べていくことで遺伝子の塩基配列を構築する。これは、5'末端側のコドン最適化が最も効果的だという報告[5] があるためで、この方法なら対応tRNAが豊富なコドンが5'末端側に優先的に割り当てられ、5'領域により重点的な最適化を実現できる。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質の一つであり、実用的な場面での吸収のターゲットを空気中のホルムアルデヒドだと想定した。また、今回採 用したホルムアルデヒドの吸収の方法は光合成反応の一部であるカルビン回路を利用したものであり、この回路に取り込まれるホルムアルデヒドの大部分は二酸 化炭素などと同じく、葉の表面の気孔を通じて主たる光合成反応の場である葉肉に運ばれると思われる。そこで、私は気孔の数を増やすことでホルムアルデヒド の植物体への取り込みを容易にし、ホルムアルデヒド吸収効率を向上させようと考えた。 そのために本デザインではepfl9遺伝子を過剰発現する方法を採用した。epfl9はSTOMAGENとも呼ばれ、シロイヌナズナで過剰発現させると気孔の数を増加させることが実験的に証明されている[6]。