Add LinkData work(LinkData)
望月 正弘
本デザインでは、LinkData.org上のCADプログラムを用い、以下の手順でプロモーターを作製した。 デザインの基礎となる天然のプロモーター配列には、デフォルトの35Sカリフラワーモザイクウイルス由来のプロモーターを採用した。 データベースとしてAtGenExpress_ATTED_Root、アプリケーションとして今回開発したプラグインMotifRankingを用い、プロパティCol-0_root_GM-21で発現量を示すスコアが4番目に高い遺伝子座At3g15950のモチーフを1の配列に組込んだ。 データベースとしてAtGenExpress_ATTED_Flowering、アプリケーションとしてMotifRankingを用い、プロパティCol-0_pollenでスコアが7番目に低い遺伝子座At4g23670のモチーフを2の配列に組込んだ。
本デザインでは、LinkData.org上のCADプログラムを用い、以下の手順でプロモーターを作製した。
本デザインは、組換え後の稔性を維持することが遺伝子組換え植物の作製において重要であることを指摘し、その方法として組織特異的プロモーターの利用を提案するものである。 私は、GenoConに取り組む過程で、哺乳類のシトクロムP-450 2E1の遺伝子を植物に導入することでホルムアルデヒド耐性を付与できるとするZhengらの研究[1]を知った。同時に、この結果はChallenge Bの課題に合致するものの、そのままGenoConに転用するには一つの懸念事項が存在することにも気づいた。それは、ZhengらのペチュニアPetunia hybridaを用いた実験では形質転換体が種子形成能を欠いていたという点である。Zhengらはリーフディスク法により無性的に形質転換体を得たのに対し、GenoCon 2010では形質転換後に種子を採取しT2世代を実験審査に用いていた[2, 3]。従って、Zhengらと同じ方法を採用しても、形質転換後に種子が得られなければ、GenoConでは実験そのものが成立しないおそれがある。この例に限らず、一般論としても遺伝子導入に伴う不稔は、遺伝子組換え植物の作製とその継続的栽培を困難にし、特に商品作物の場合には種子や果実の形成不全自体が商品価値を大きく毀損する可能性がある。 この課題を克服するための一案として、組織特異的プロモーターの作成を試みた。この人工プロモーターは、土壌のファイトレメディエーションへの応用を想定して、根で目的遺伝子を高発現し、逆に生殖に直接関与する花粉においてその発現を抑制するように設計されている。この発現制御によって、外来遺伝子による花粉への悪影響を限定し、遺伝子導入に伴う不稔化が防止されるものと期待される。 なお、本デザインは不稔の原因が花粉での目的遺伝子発現にある場合に限り有効なものであり、実際には不稔の原因に応じて適切な組織において発現を抑制することが求められる。
本デザインは、組換え後の稔性を維持することが遺伝子組換え植物の作製において重要であることを指摘し、その方法として組織特異的プロモーターの利用を提案するものである。
私は、GenoConに取り組む過程で、哺乳類のシトクロムP-450 2E1の遺伝子を植物に導入することでホルムアルデヒド耐性を付与できるとするZhengらの研究[1]を知った。同時に、この結果はChallenge Bの課題に合致するものの、そのままGenoConに転用するには一つの懸念事項が存在することにも気づいた。それは、ZhengらのペチュニアPetunia hybridaを用いた実験では形質転換体が種子形成能を欠いていたという点である。Zhengらはリーフディスク法により無性的に形質転換体を得たのに対し、GenoCon 2010では形質転換後に種子を採取しT2世代を実験審査に用いていた[2, 3]。従って、Zhengらと同じ方法を採用しても、形質転換後に種子が得られなければ、GenoConでは実験そのものが成立しないおそれがある。この例に限らず、一般論としても遺伝子導入に伴う不稔は、遺伝子組換え植物の作製とその継続的栽培を困難にし、特に商品作物の場合には種子や果実の形成不全自体が商品価値を大きく毀損する可能性がある。
この課題を克服するための一案として、組織特異的プロモーターの作成を試みた。この人工プロモーターは、土壌のファイトレメディエーションへの応用を想定して、根で目的遺伝子を高発現し、逆に生殖に直接関与する花粉においてその発現を抑制するように設計されている。この発現制御によって、外来遺伝子による花粉への悪影響を限定し、遺伝子導入に伴う不稔化が防止されるものと期待される。
なお、本デザインは不稔の原因が花粉での目的遺伝子発現にある場合に限り有効なものであり、実際には不稔の原因に応じて適切な組織において発現を抑制することが求められる。
GenoCon Challenge Aの公式CADプログラムには、元々MotifMax2、MotifMin2というプラグインが用意されている。これらのプラグインは、設定された条件下でそれぞれ最大/最小の発現を誘導すると予測される遺伝子座のモチーフを自動的に選び出し、これをプロモータ配列に組み込む機能を有している (図1:A)。一方、新開発プラグインMotifRankingは、上位/下位10件の発現量ランキングを表示し、ユーザーがそこから任意の遺伝子座を選べるように拡張されている (図1:B)。このプラグインには、既存のプラグインに比べて、以下のような利点がある。MotifMax2、MotifMin2の場合には、最大・最小の発現量を誘導するモチーフがGenoCon Challenge Aでデザイン可能な範囲に収まらず、警告が表示されることがある。MotifRankingなら上位・下位ランキングの2位以下の遺伝子座から、範囲に収まる別のモチーフを選び出すことができる。一つのプロモーターに多重的にモチーフを組込んだ場合には、あるモチーフAが別のモチーフBで上書きされてしまうことがある。MotifRankingを使えば、ランキングの中から相互に衝突しないモチーフの組み合わせを探す余地がある。敢えて緩やかな発現制御を行いたい場合には、ランキングで中位のモチーフを選ぶことで、それを実現できる可能性がある。 実際、本デザインでは、上記1の理由から、根での高発現を誘導するモチーフをランキングの上位から順番にチェックし、警告が表示されない4位の遺伝子座を選択した。さらに、上記1と2の理由から、花粉での低発現を実現するモチーフのうち1位から6位のものは避けて、7位のモチーフを採用した。